
分社化のメリットは節税!
ビジネスの現場では「分社化」という単語をよく聞きますが、実際にどのようなもので、どんなメリットがあるのか正確に知っている方は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、そもそも分社化とは何のことか、なぜ分社化するのか、そのメリットは何かについて節税に焦点を当てながらご紹介いたします。ぜひ参考にご覧ください。
目次
1.分社化とは?目的、種類、注意するべき点
分社化とは、すでに企業が存在しているのに、新たにもう1つの会社を設立することをいいます。
分社化する目的はそれぞれの企業によって違うでしょうが、企業の事業部の業績がどんどん拡大して独立した権限を与えることで役割と責任を明確化することが挙げられます。
また、最近ではM&Aが行われることが日本でも多くなりましたが、その際に買収企業と買収された企業とで社風や文化が合わずに事業がうまく展開できないと経営者が判断したときにも行われます。
これはアメリカでよく起こることです。さらに、日本の企業に多いのが後継者問題の解決です。会社を経営する上でこの後継者問題というのはどこの企業にとっても大きな悩みの種の1つでしょう。
特に、オーナー企業の場合にはオーナーに複数の子供がいたら争いが起こる可能性があります。
そうした不毛な争いを避けるためにも、分社化した会社に子供をそれぞれ送り込むのです。他にも、コスト削減や節税対策としても分社化は行われます。ほとんどの場合はこの節税対策です。
分社化というのは文字通り会社を分けることですが、どのように分けるかは企業ごとに異なってきます。大きなパターンとしては、次の2つになります。
①兼業売り上げ1つを分ける
たとえば、メーカー機能と商社機能を兼ね備えた企業があるとします。その製造業のみを分社化するというケースです。
②売上先の一部を分ける
よく見られるのは特定の大手企業との取引額が群を抜いているときに、その顧客の売り上げを分社化した会社に振るというケースです。ただし、分社化をしたときには注意するべき点もあります。お金の出入りは分社化した会社の口座を通したり、契約書の名義は新会社のものを使ったり、必要な場合には新会社に社員を出向させるといったことなどにも留意しないといけません。
2.分社化による節税メリットとは?
分社化を行った場合にどのくらい節税効果が生まれるのでしょうか。
1つは法人税の恩恵があります。資本金1億円以下の中小企業の場合は所得が800万円以下であれば法人税率は約25%、所得が800万円を超えるなら約38%が課税されるのが一般的です。
もし1600万円の所得がある会社が分社化をしてそれぞれ800万円の所得になれば、それぞれの会社は25%の課税しか受けないわけです。
これだけで104万円もの金額が節税できます。また、法人税だけでなく消費税の恩恵もあります。分社化した会社は2期間は消費税が免税されます。
それだけでなく売上が1000万円以下であればその期間以後も免税されます。これだけで年間1000万円の売上なら80万円分の節税が可能になります。
さらに、交際費の非課税額の枠を増やすことができます。年間800万円までは経費になりますが、この枠が2者分になるというわけです。
つまり、交際費の損金参入限度額が1600万円まで可能になるのです。もちろん、節税以外にもメリットはあります。分社化することで事業だけでなくキャッシュ・フローも完全に分かれますので、責任と役割が明確になります。
それによって競争原理を働かせたり、独立会社としてのプライドも醸成されたり、責任者の決定権が強化されてよりスピード感を伴った経営や改革を実行に移すことができるというわけです。
会社が小規模であれば経営者の意向が明確に社員に伝えられやすくなって社員が企業の掲げるビジョンに向かってまい進していくことになります。
ただし、節税対策でやったはずなのに、逆に税金が増えることもあります。
たとえば、赤字事業と黒字事業の2つがある場合、黒字と赤字を相殺して法人税を計算しますが、これを分社化したときには赤字会社には欠損金の繰越控除が適用されますが、黒字会社は税金がこれまでよりも高くなることもあります。
分社化をするときはくれぐれも熟慮した上で行うべきです。これまで見てきたように、会社の分社化には節税をはじめとする多くのメリットがあります。しかしながら、そもそも分社化の種類や目的はさまざまで、注意するべき点もあります。分社化を進めるときには検討をしっかりとすることです。
3.まとめ
会社の分社化にはいろいろな目的がありますが、その1つとして節税が挙げられます。法人税が軽減されたり、消費税を一定期間納税しなくて済みますし、交際費の損金参入限度額が増えるなど、本来原わなければいけないお金が節約することができるのです。日本企業の多くがこの節税対策のために分社化を行ってるのが現状です。